2011-01-01から1年間の記事一覧

和田敦彦『越境する書物』読書メモ

前置き 久しぶりにブログを書いてみる。 最近読んで感銘を受けた本ということで、こちらの読書メモを。 越境する書物―変容する読書環境のなかで 作者: 和田敦彦 出版社/メーカー: 新曜社 発売日: 2011/08/03 メディア: 単行本 購入: 1人 クリック: 52回 この…

電子書籍についての一夜漬的感想

先日、某所で研修を受講したところ、修了要件として電子書籍が普及すると図書館ではどういう課題が出てくるか2000字で述べなさい、という課題を出された。電子書籍の話題は、いままでずっとスルーして来たのだけれど、しかし2010年のいわゆる「電子書籍元年…

山梨あや『近代日本における読書と社会教育』読書メモ

近代日本における読書と社会教育 作者: 山梨 あや 出版社/メーカー: 法政大学出版局 発売日: 2011/02/21 メディア: 単行本 クリック: 20回 この商品を含むブログ (2件) を見る 書評が出来るほどの身分ではなし、またその能力も全然ないのだが*1、読んでおか…

「新書」と「教養」

末端の事務屋とはいえ、図書館の禄をはむものとして、出版界の動向はいつも意識せざるをえないでいる。カウンターに出ていた頃は、「最近の司書は本のことを碌に知らん!」というお叱りを受けたこともあって、ただただ申し訳ない、と思いつつ、その日の帰り…

ある「あとがき」の話

歴史は何のために書くのか。この手の質問を人からされたら、私は嫌な顔を隠せとおせないだろう。ただ、昨日のエントリについてそういう疑問が生じたかもしれない…という懸念は、私のなかにもあって、やはり不十分な文章をパブリックな場にあげても傷つくのは…

高校日本史と大学の日本史研究のあいだ

またも同僚との会話で恐縮なのだが、「日本史を研究するって具体的にどういうことなんですか。もうあらかたのことはわかっちゃってるんじゃないですか、とくに最近のことは」ということをたまに言われる。 たぶん私だけでなく、歴史学を専攻していた人は、同…

歴史的資料を図書館に見に行く

以前同僚に昨日書いたような歴史的資料の話をしたら、その重要性はわかったんだけれど、じゃあどうやって探すんだ。ということを言われた。確かにそれはもっともな話である。 そもそも史料とは何か。これについては古典がいっぱいあるのだけれど、大学院に入…

人文系必読書をめぐる議論について・その4

まだこの話題で続ける気なのか、と自分でも思うものの、図書館の選書業務の参考になることを一切書いていなかったので、そちらの補足を。 なんだかこれまでのエントリといきなり矛盾するようだが、大学図書館の蔵書でどの図書館も持っている本は読んだ方が良…

人文系の情報特性についての更なる蛇足

大学図書館についてものを言える立場にないくせに、選書の参考になりそうなことをなどと甚だおこがましいことを書いて少し胸がチクチクするので、図書館情報学の分野での一つの見解としてとりあえずこの本の該当箇所を読んでみた。 図書館資料論・専門資料論…

人文系必読書をめぐる議論について・その3

正直に告白すると、私は本を読まない高校生だった。いや、中学生のころも小学生のころも、読まなかった。 そもそも高校2年の秋まで美大進学をかなり本気で考えていたので、活字の本などむしろ邪魔だくらいに思っていた。そんな人間が今図書館で働いているの…

人文系必読書をめぐる議論について・その2

すごく中途半端に話が終わってしまってすみませんでした。 以下の記事も、何か凄く言いわけの補足の蛇足じみているのですが、もしお付き合いいただけるなら、幸いです。 -------------------------------------------------------------- さて、人文系の必読…

人文系必読書をめぐる議論について

先日、友人と以下のようなやりとりがあった。 専攻の異なる人文系出身者が議論するときに、「必読」とされているような本について、これから参入する学生さんがどうやってそれを探すかという話だ。 そこで、主要な文献を探すにあたって 例えば大学図書館の所…