2025年に出た本で印象に残ったもの

 

今年も残すところあとわずかとなりました。

恒例の記事を書いてみます。

 

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まずは恩師や先輩の書かれた本から

 

実際の史料整理から史料解読で注をつける作業までの具体的な説明とともに、いかにして史料のなかから思想を読み解いていくかという、歴史学からの思想史へのアプローチ方法を徹底的に追求したもの。日記・書簡などの私文書のほか、書物や雑誌の活字史料の解釈の方法を含み、自分も学生指導のなかで必ず使っていきたいもの。

 

 

 

尊敬する兄弟子の著作。すでに報道のあるとおり、樫山純三賞、司馬遼太郎賞、大佛次郎論壇賞の三冠達成という偉業を達成。外務官僚が残してきた大量の業務の記録をひもときながら、その外交構想を読み解く重要な著作。思想史にも示唆を与える。

 

 

思想史の分野では、とくに次の本が私にとっては重要だった。

 

高山樗牛の箇所が参考になったのだが、樗牛にとどまらないスケールの広い思想史として感銘を受けた。同じく樗牛関係で、しかし樗牛に止まらない話として

 

も。

平山さんからはほかにもこちらをいただいておりました。

 

 

思想史に関しては近世思想のこちらの平凡社ライブラリー化。

 

 

また、渡辺先生の背筋が伸びるような著作も。

 

 

 

 

それ以外では、昭和100年、戦後80年ということもあり、戦争関連の著作を読むことが多かった。そのため印象に残ったものとして以下をあげる。

 

 

 

 

 

 

 

 

なお、『戦中派』の前田さんとは、熊本さんの受賞パーティでたまたまお目にかかることができ、少しお話をさせていただいた。世代的に近いこともあって、「戦中派」と私たち氷河期の世代にもどこか通じるものがありますよね、みたいな話をした記憶がある。

 

昭和の戦争そのものではないけれども、陸軍の入門的説明として感銘を受けたものとしては次のものがあった。

 

 

 

書物、メディア関係でも重要な著作が出たのではないか。

紙の書籍の歴史的検証が本格化するということは、現実の本の現場が大きな岐路に立たされているということでもある。

 

 

 

 

 

 

日比さん、石川さんの著作はいただきもの。とくに石川さんのご著書は、有山先生とは違った切り口からの近代日本ジャーナリズム通史として、授業の教科書などにもよさそう。

 

それから、12月に新聞記事にもしてもらったのだが、地域調査のため、フィールドワークの授業を引率するようになった。

www.niigata-nippo.co.jp

 

このために参考になる本を色々求めていたのだが、生活史を聴いて書くことについての本も豊作だったのではないか。すべては読めていないが、入門編として読んだものとして以下を。

 

本じゃないけど、日本出版学会の「出版フィールドワークプロジェクト」の取り組みも、今年始まった興味深いものとして記しておきたい。

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そのほか。

 

図書館の歴史、絵本になるんだ。という驚きとともに購入したもの。

 

図書館のレファレンス担当時代を思い出すような、大学教員の悲哀を感じてしまうような、そんな小説。『文学部唯野教授』の当世版と言ったら変かもしれないが、学生に進めるときにはそういうニュアンスで伝えてしまうかもしれない。この読後感はpodcastでも話した。

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美しい表紙の本。読みながら安丸『現代日本思想論』を読んでいた時と似たような気分になった。著者の姿勢がそうさせるのかもしれない。

 

これはほんとにびっくりしたのだが、著者の方から、このブログを長年読んできて参考にしたからと出版時にご連絡をいただいたもの。直接お会いしたこともない人と、どこかでつながっていて、そして日本の文化について考えて本を書かれる、その手伝いができたのだとしたら、それって本の力だよなあ…と思ったりした。

 

春に1年生向けの授業担当にもなって、その教え方を考えていたときに読んだ本。実際に大学生に聞き取りをしてどういう学生が成長を実感しているか?という調査結果を載せる。割と実感に近かった。

 

 

締切と闘え!

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最高。新書を読んで笑ったのはいつ以来なのか。中学生の頃から作者の漫画を読んできたものとしては、2025年のベストに挙げてもよいくらい。卒論を書いている4年生に付録を見せたら苦笑していた。

 

最後に。『ライブラリー・リソース・ガイド(LRG)』53号の専門図書館特集号。

https://www.fujisan.co.jp/product/1281695255/new/

雑誌なのでちょっと上記とは趣旨がずれるかもしれないけれど、本格的な専門図書館の特集として重要だとおもうので。私のインタビューも載せていただきました。

 

note.com

 

まだ取り上げるべき本もありますがこの辺で。今年はあまりたくさん本が読めなかったので、来年頑張ろうと思います(毎年同じことを言っているような気も…)

みなさんのお勧め本は何でしょうか?

 

それでは良いお年をお迎えください。

昭和戦前期にかんする日本歴史入門用新書リスト

昭和戦前期の政治と社会についての講義が終わりました。

 

わたしなりに初めての試みだったのですが、本リストは、その際、受講者に配布したブックリストを若干修正したものです。大学で日本近代、とくに昭和期を勉強しようと考える学生に、今後少しでも役にたてばと思って公開します。

 

選書基準は、過去20年に発行されたもの(2005年以降に発行されたもので、概ね2025年初夏までに刊行されている本)で、かつ、私が読んだことがあるものとしました。

そのため、入れてしかるべきなの本が入っていなければ、私の不勉強故です。未読のものがあった場合は、これから読んで時間があるときに足します。

 

過去20年分というのは、甚だ便宜的な基準です。ただこれ以上遡ると作業が大変なのと、現在受講している大学生の1、2年生が生まれる前の本は、入門編としては、積極的に取り上げなくても良いのではないかと考えました。読まれるべき古典は当然存在すると私も自覚していますが、それもさることながら、この間にも目覚ましく色々な研究が進んでいて、高校日本史の教科書の知識とはだいぶ違うことが盛んに議論されていることが伝わると良いと考えた次第です。

ですので、坂野潤治『昭和史の決定的瞬間』(ちくま新書)は、インパクトがあった本だと思うのですが、2004年刊行という理由で外しました。

 

 

対象時期は1945年で区切りましたが、これも感覚的なもので、よって通史的なものでも、占領期や戦後のほうがメインとなっている新書を除外していたり、逆に入っていたりする場合があります。曖昧ですみません。

 

新書ですので、いちおう173×105mmの範型の叢書で発表されたものに限っています。

文庫版で重要な文献が復刊された場合をどうするか悩んだのですが、新書が「最新の学術動向を一般向けに分かりやすく紹介する入門書」である基本性格であることに鑑み、受講者には古典は何冊か読んでから挑戦してもらえればよいと考えました。

 

何分、昭和史の文献は膨大であり、かなりの漏れが予想されますが、ご容赦ください。「これさえ読んでおけば完璧!」ということを主張するつもりは一切ありません。

あくまでもこれから学習を始める人へのきっかけとなることを願って提示するものです。ご理解をお願いします。

 

 

全体・通史

井上寿一『論点別 昭和史』(2019、講談社現代新書)

 

井上寿一『はじめての昭和史』(2020、ちくまプリマー新書)

 

井上寿一『新書 昭和史』(2025、講談社現代新書)

 

岩波新書編集部『日本の近現代史をどう見るか』(2010、岩波新書)

 

加藤陽子『満州事変から日中戦争へ』(2007、岩波新書)

 

辻田眞佐憲『「戦前」の正体』(2023、講談社現代新書)

 

保坂正康『昭和史のかたち』(2015、岩波新書)

 

筒井清忠編『昭和史講義』1~3、軍人篇、戦前文化人篇(2015~2022、ちくま新書)

 

筒井清忠編『昭和史研究の最前線』(2022、朝日新書)

 

古川隆久『昭和史』(2011、ちくま新書)

 

吉田裕『アジア・太平洋戦争』(2007、岩波新書)

 

史料について知る

井上寿一『昭和の戦争』(2016、講談社現代新書)

 

御厨貴編『近現代日本を史料で読む』(2011、中公新書)

 

原武史『「昭和天皇実録」を読む』(2015、岩波新書)

 

伊藤隆『歴史と私』(2015、中公新書)

 

 

天皇・宮中・重臣その他

古川隆久『昭和天皇』(2011、中公新書)

 

川田稔『木戸幸一』(2020、文春新書)

 

伊藤之雄『元老』(2016、中公新書)

 

望月雅士『枢密院』(2022、講談社現代新書)

 

萩原淳『平沼騏一郎』(2021、中公新書)

 

内務省研究会編『内務省』(2025、講談社現代新書)

 

政党政治

井上寿一『政友会と民政党』(2012、中公新書)

 

筒井清忠『昭和戦前期の政党政治』(2012、ちくま新書)

 

筒井清忠『戦前日本のポピュリズム』(2018、中公新書)

 

中澤俊輔『治安維持法』(2012、中公新書)

 

萩野富士夫『検証治安維持法』(2024、平凡社新書)

 

 

外交

安達宏昭『大東亜共栄圏』(2022、中公新書)

 

服部龍二『広田弘毅』(2008、中公新書)

 

熊本史雄『幣原喜重郎』(2022、中公新書)

 

佐々木雄一『近代日本外交史』(2022、中公新書)

 

 

植民地

加藤聖文『「大日本帝国」崩壊』(2009、中公新書)

 

新城道彦『朝鮮王公族』(2015、中公新書)

 

趙景達『植民地朝鮮と日本』(2013、岩波新書)

 

木村光彦『日本統治下の朝鮮』(2018、中公新書)

 

軍部

川田稔『昭和陸軍全史』1~3(2014、講談社現代新書)

 

川田稔『武藤章』(2023、文春新書)

 

小林道彦『近代日本の軍部』(2020、講談社現代新書)

 

小山俊樹『五・一五事件』(2020、中公新書)

 

手嶋泰伸『日本海軍と政治』(2015、講談社現代新書)

 

及川琢英『関東軍』(2023、中公新書)

 

戦争

一ノ瀬俊也『日本軍と日本兵』(2014、講談社現代新書)

 

一ノ瀬俊也『特攻隊員の現実』(2020、講談社現代新書)

 

麻田雅文『日ソ戦争』(2024、中公新書)

 

栗原俊雄『特攻』(2015、中公新書)

 

波多野澄雄・戸部良一・松元崇・庄司潤一郎・川島真『決定版日中戦争』(2018、新潮新書)

 

吉田裕『日本軍兵士』(中公新書)

 

吉田裕『続・日本軍兵士』(2025、中公新書)

 

社会・メディア・文化

井上寿一『戦前昭和の社会』(2011、講談社現代新書)

 

小野雅章『教育勅語と御真影』(2023、講談社現代新書)

 

 

金山泰志『近代日本の対中国感情』(2025、中公新書)

 

貴志俊彦『帝国日本のプロパガンダ』(2022、中公新書)

 

佐藤卓己『言論統制』増補版(2024、中公新書)

 

辻田眞佐憲『空気の検閲』(2018、光文社新書)

 

萩野富士夫『特高警察』(2012、岩波新書)

 

山口輝臣・福家崇洋『昭和史講義 戦前昭和篇』(2022、ちくま新書)

 

2024年に出た本で印象に残ったもの

 

 

この手の記事、2020年が最後でその後ずっと書けていなかったようなのですが、久々に書いてみます。

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日本史、日本思想史、メディア史、図書館関係、カテゴリーをわけず思いつつくまま書き出していきます。

 

おそらくだが、2024年の一番最初に読んでいた本なのではないかと思う。「その通念に異議を唱える」の部に収められた各篇を読みながら、こんな切れ味抜群の文章が書けたらいいなあという憧れと、いやいや、これを私なんかが真似しようと思ったらいけないんだという内省と両方が巻き起こる。思想史の色々な面白さがわかる一冊。

 

いただきもの。東北大の研究成果。阿部次郎に関する資料がこれだけたくさん出てくるというのは凄いことだよなと圧倒された。

 

メディアと仏教の研究の一つの達成かなと思う。かなり衝撃を受けたので個別にnoteの記事にしている。

note.com

大澤さんたちとは御縁があって、この本の書き手の方々と12月に樗牛関係で研究会でご一緒することになった。

 

 

いただきもの。アーカイブズ学に関する用語を収録した大変重要な成果。図書館学関係の用語もフォローしてあり、しっかり勉強せねばと思います。

 

 

日本出版学会で知ったもの。図書館が本を買うとどの程度出版者に影響があるのか、いつも不毛な論争になってしまう問題についても明確な基準を示した、印象論を超えた必読の実証研究。

 

 

図書館に関してはこちらも。従来あまり分析されてこなかった地方の小学校に付設された簡易図書館などを検討している。明治以降の日本人が何処で何をよんでいたかを知るためには今後必ず参照すべき文献の一つになると思う。

 

 

学知史という切り口の新しさ。戦後の方の議論までは十分フォローできていないのだが、『近代学問の起源と編成』論集に図書館のパートで関わって以来、学問史に関してはずっと興味があって、こういう本が編まれたことが一つの研究の進展だなと感じたりした。

 

 

著者の博士論文。卒論・修論でお世話になった副査の先生も如是閑がご専門だったので、先生の講義を思い出しながら読んだ。

 

 

尾原さんからいただきもの。クイズ番組などを見ていて今の若い世代の学歴に対する想い、高偏差値への学校入学の志向はかつてないほど高いという指摘を読んで、そういう意識がなかったこともあって不意を衝かれたような気持になった。しかし改めて考えると「確かに…」とも。この辺、『軍事と公論』もしかり、テレビから確実に時代の流れをつかんでくる抜群の感覚こそが尾原さんの凄味だと思う。「高学歴」の言葉の意味がSNSで従来と違う形で使われるようになったのもそのためだったのか…と納得したり。

 

 

著者からのいただきもの。聖徳太子論としては異色の切り口の本ということになるだろうか。宗教学者・姉崎正治の聖徳太子論についていずれ考えようと思っていたので、成程この人も聖徳太子のことをやっていたのか等々、考えさせられることが多かった。

 

 

 

2024年はこれを挙げないわけにはいかないでしょう、の1冊。これ以上優しく説明するのはおそらく不可能な論文を読む日本史系演習での論点の立て方マニュアルみたいな趣もあり、誰でも書けるかというとこれ史学史に通暁した松沢さんしか書けないよ…と唸る箇所が多々。秋学期の講義では積極的に学生に勧めた(つもり)。響いているとよい。

 

 

 

話題になった本。近現代日本の読書の歴史としてコンパクトにまとまっていると思う(専門的にはつっこみたくなる箇所がなくはないが)。著者の提示する解が最善かどうかも議論の余地があるかもしれないが、読書する上で何が「ノイズ」になってしまうのかについて、考えさせられるところは大きい。

 

Kindleで出張中に読んでて、そのあとブクログに登録するのをすっかり忘れていた。紙で読まないと今年なのに忘れてしまうとか、歳なのが悲しい。そんな45歳が32歳の読書を応援したくなる一冊。自分も読書家ではなかったし本を読むのが苦手だったから、少しだけみくのしんさんの共感しているところもある。杜子春とかでいきなり感情移入できなくなる場面とか、ああ、と。共感だけが読書の全部じゃないよ、色んな読み方をしても怒られないんだよ、ということを優しく教えてくれる本ともいえる。

そして適切な相方がいれば、本を読み上げるという行為はこんなコンテンツ足りうるんだということを学んだ(学んだ結果、ちょっと学生と一緒に文献輪読をするときに一文一文読み上げながら「ここは~」って合いの手を入れるような解説をしているときがある。感化されすぎで鬱陶しかったら申し訳ない)

 

 

 

2024年1月刊行。実はオーディブルで聴いたのだが、西洋哲学の受容のくだりなどは、自分の授業にも使えそうなところがいくつかあって勉強になった。来年度以降に反映させていきたい。

 

 

泣ける小説が読みたい、という困った衝動があって、そういうときにマハさんの本を探すのだが、棟方志功の妻の話。オーディブルで聴いた。渡辺えりさんの朗読が凄すぎて単純で涙もろい私は何回か本当に泣きかけた。その風景まで覚えている。構成に「やられた!」という感じでは実は個人的には『たゆたえども沈まず』の方が上かもしれないが、家族のきずなを感じさせるものとしてはこちらか。

 

これも実はオーディブルで聴いた。講談社の今を生きる思想シリーズ、ページ数が厚くならないように絞っているみたいなので、逆に朗読で聴くのにちょうどいい。この本のはじめの方で出てくる、多様性が尊重される時代には、絶対的な基準が相対化されていく。そのなかで誰もが致命的に悲惨な目に合わないよう納得できる公平な基準はどうやったら作れるか、という問いが結構ストンと落ちて、色々と考えるところがあった。彼の著書に挑むのは骨が折れそうだが、そのうち…。

 

 

近現代だけ挙げたけれど、全巻重要。教科書の記述に即して、それに対する研究動向がどのようになっているのかを解説。非常に勉強になる。

 

 

佐藤先生。過去10年分くらいの既発表原稿をまとめたものであるが、現在に通じる警鐘が多く含まれる。佐藤先生の本は『言論統制』増補版も学生と読書会を開くほど感銘を受けた。

 

 

「お客様」が持っている歴史的なニュアンスを思えば、就活中の学生にも読んでほしい気がする。色々なことを考えさせられた。

 

著者とは面識がないのだが、拙著『帝国図書館』を引用していただいている。アカデミズムの総合的な歴史がしっかり書かれないといけない気もするのだが、同じく在野の学問の歴史もまた紡がれなければならない。

 

www.tongazakabun.co

岡野さんからいただいたもの。日記本文に関西文脈の会で自分の発表回が出て来てびっくりした。一応公開を前提にした連載がベースのようだが、こうした日々の記録の積み重ねが、多方面に広がる岡野さんの交友を作っているのだなと実感

 

飯田先生。高山樗牛論の問題提起は受け止めて応えていかなければならないと思う。レジュメのほうにある大正時代の総合雑誌の変化の話、『大正知識人の思想風景』でもそこまで詳しく語られていないと思うので、この部分の文章化を…と思わずにはいられない。2023年の有山先生の『近代日本メディア史』Ⅰ・Ⅱと実は対応する本なんじゃないかと少し思っている。

 

 

その他、年末に買ったりいただいたりしたもので

 

著者とは直接の面識はまだないのだけれどいただきもの。拙稿「法科と文科」を引用していただいている。まだ全編しっかり読めていないので早く読みたい。

 

 

佐藤さんからいただきもの。『LRG』連載をまとめたもの。切り口が圧倒的に面白い。表紙も素敵だし、大切な一冊。

 

あと

 

『帝国図書館』もご担当いただいた上林さんがご担当とのこと。著名な学者の顔写真が豊富でこういう方だったのか…というのがわかって門外漢には嬉しい。冒頭の学問史がちゃんとない、という丸山眞男の言葉に強く惹かれる。

 

 

河西さんからのいただきもの。ご専門のかなり中心的なテーマに関わる部分で、注記も充実。報道に対する視聴者の声も拾われているところはさすが。

 

 

 

まだ取り上げたい本もあるけれどこの辺で。今年はたくさん本が読めたのか読めなかったのか。あまり読めなかった気もするので、来年の自分に期待したいと思います。

みなさんのお勧め本は何でしょうか?

 

良いお年をお迎えください。

研究視点を考える際の参考文献

専攻過程に進む直前の2年生向けの演習授業で、各人の問題意識について発表しているのですが、本記事では、その際に発表を聞きながら思いついて提案した文献についてまとめます(授業後に思いついたものも追記しています)。

それだとブログタイトルのつけようがないので便宜的に「研究視点を考える際の参考文献」としました。あしからずご了承ください。

 

受講者は日本研究に限らず、文学、映像、コンテンツなど関心が多岐にわたっているようなので、いい意味で学際的なラインナップになればと思います。論文も挙げたいのですがとりあえず単行本に限ります。

 

*

 

雑誌メディア等を通じた「少女」の表象について

 

文学作品に表れた「女学生」

 

 

「戦争」という記憶の継承に関して

 

 

 

 

新聞小説

 

新聞読者について

 

 

読者論

 

 

 

明治時代の「作家」の地位

 

作家の原稿料

 

 

以下、随時追加します。

日本研究のための文献リスト

本リストは、私、長尾が2023年度に「日本研究概論」という授業で学生に紹介した文献リストの一部を公開するものです。聴講者は1、2年生向けの入門講義でした。

講義としては、日本研究の来歴を振り返り、近代日本の文化を今日的な視点から研究する際の論点をトピックごとに論じるというものでした。学際的で多岐にわたる領域の話なので、何かしら気になったところから読書が広がっていけばいいなと思い、まだまだ不十分ですが、提示します。

※各論については省略します。

 

 

日本学/日本研究の方法

西川長夫『国境の越え方』増補版(2001、平凡社ライブラリー)

 

 


齋藤希史編『日本を意識する』(2005、講談社選書メチエ)

 

 


與那覇潤『日本人はなぜ存在するか』(2013、集英社インターナショナル)

 

 


猪木武徳ほか編『新・日本学誕生 国際日本文化研究センターの25年』(2012、角川学芸出版)

 

 


加藤典洋『増補 日本人の自画像』(2017、岩波現代文庫版)

 

 


伴野文亮, 茂木謙之介編『日本学の教科書』(2022、文学通信)

 

シュミット堀佐知ほか編『なんで日本研究するの?』(2023、文学通信)

 

※同書評

www.yomiuri.co.jp

 

 

日本文化論・日本人論

青木保『「日本文化論」の変容』(1990、中央公論社)

 

 


南博『日本人論』(1994、岩波書店)

 

 


小熊英二『単一民族神話の起源』(1995、新曜社)

 

 


大久保喬樹『日本文化論の系譜 : 『武士道』から『「甘え」の構造』まで』(2003、中公新書)

 

 


遠山淳,中村生雄,佐藤弘夫編『日本文化論キーワード』(2009、有斐閣)

 

 


内田樹『日本辺境論』(2009、新潮新書)

 

 


船曳健夫『<日本人論>再考』(2010、講談社学術文庫)

 

 


小谷野敦『日本文化論のインチキ』(2010、幻冬舎新書)

 

 


與那覇潤『中国化する日本』(2011、文芸春秋)

 

 


外から見た日本

佐伯彰一・芳賀徹編『外国人による日本論の名著』(1987、中公新書)

 

 


渡辺京二『逝きし世の面影』(2005、平凡社ライブラリー)

 

 


内田宗治『外国人が見た日本』(2018、中公新書)

 

 

日本研究を支える人と資料

江上敏哲『本棚の中のニッポン』(2012、笠間書院)

 

 


井田太郎・藤巻和宏編『近代学問の起源と編成』(2014、勉誠出版)

 

 


小山騰『ケンブリッジ大学図書館と近代日本研究の歩み: 国学から日本学へ』(2017、勉誠出版)

 

 


田中あずさ『サブジェクト・ライブラリアン』(2018、笠間書院)

 

 

初学者向けメディア史関係文献リスト:雑誌から日本の近代史を見る

 

本リストは、私、長尾が2023年度に「雑誌から日本の近代史を見る」という授業資料に添付した参考文献リストを元とし、その一部内容を修正したものです。聴講者は1、2年生向けの入門講義でした。

 

見返すとなかなか不十分な点が多々あって気になりますが、近代日本の活字メディア史に興味があるけれどどこから手を付けたらよいだろうという人への案内になればと思い、公開してみます(放送や映画は全く触れられていません、あしからず)。

さらに知りたいという人はそれぞれの本の注記や参考文献一覧を参照してもらうのがよいです。

 

なお少々古い記事(10年以上前!!)となりますが、関連して以下のようなものも書いております。よろしければ、あわせてご覧ください。

negadaikon.hatenablog.com

negadaikon.hatenablog.com

講義内容に直接に関わるものとして

  • 長尾宗典「雑誌研究と図書館:歴史研究の立場から」『専門図書館』311号(2022年12月)
  • 長尾宗典「新聞・雑誌メディア:社会の中でどのような役割を果たしたか」岩城卓二・上島亨・河西秀哉・塩出浩之・谷川穣・告井幸夫編『論点・日本史学』(2022年、ミネルヴァ書房)所収
  • 長尾宗典「「誌友交際」の思想世界」中野目徹編『近代日本の思想をさぐる』(2018年、吉川弘文館)所収
  • 長尾宗典「史料としての雑誌」『メディア史研究』第39号(2016年2月)

 

日本のメディア史研究に関して

メディア史に関する通史にどのようなものがあるか?と問われるたび、入手がちょっと難しいけれど『メディア史を学ぶ人のために』だと思う、と答えてきたのですが、最近、有山先生による通史が刊行されたので、今後これが標準になると思います。

  •  有山輝雄『近代日本メディア史』Ⅰ・Ⅱ(2023年、吉川弘文館)
  • 有山輝雄・竹山昭子『メディア史を学ぶ人のために』(2004年、世界思想社)

さらに古典的な文献に関しては『メディア史研究』50~52号の特集「メディア史研究再訪」で取り上げられたものを確認してもらうのも良いと思います。

取り上げられた主な文献を抜粋すると以下のとおりです。

 

長谷川如是閑「資本主義社会に於ける新聞紙の商品化とその奪回」
小野秀雄『新聞言論』
『日本出版百年史年表』
田中純一郎『日本映画発達史』
内川芳美『日本広告発達史』
箕輪成男『歴史としての出版』
前田愛『近代読者の成立』
山本明『現代ジャーナリズム』
香内三郎『活字文化の誕生』
神島二郎『近代日本の精神構造』
宮武外骨編『公私月報』
杉村楚人冠『最近新聞紙学』『新聞の話』
柳田国男『明治大正史 世相編』

ほか

詳しくは以下を↓

メディア史研究再訪 | CiNii Research all 検索

 

日本の雑誌の歴史

1990年代以降、明治以来の個別のタイトルの研究はどんどん進展し、また、編集者やジャーナリストの本格評伝も充実してきているのですが、それらを総合する雑誌通史の決定版というのは、まだないようです。

ちくま新書『思想史講義』各巻は、メディアとしての新聞・雑誌への言及があります。

  • 中野目徹「新聞と雑誌」山口輝臣・福家崇洋編『思想史講義』明治篇Ⅱ(2023年、ちくま新書)所収
  • 水谷悟「雑誌メディアと読者」山口輝臣・福家崇洋編『思想史講義』大正篇(2022年、ちくま新書)
  • 中野目徹「近代思想史研究における雑誌メディア」『日本思想史学』49号(2017年)

雑誌の諸側面を豊富な図版とともに解説したものとして印刷博物館の図録があります。

  • 印刷博物館編『ミリオンセラー誕生へ!』(2008年、東京書籍)

また、以下もその後の研究に与えた影響からいって重要な本といえます。

そのほか、ジャンルごとに婦人雑誌、児童雑誌、趣味の雑誌等々、雑誌の持つ娯楽的側面や、出版社に関する史料発掘と研究が進んでいます。これは個別に探すと見つかると思います。

 

国立国会図書館がやった雑誌展の図録も参考になりそうです。

 

雑誌の特性に関しては、川井先生の議論が重要かと思います。

  • 川井良介編『出版メディア入門』第2版(2012年、日本評論社)

 

 

授業は近代日本が対象だったので入れませんでしたが、射程を戦後まで広げるなら、たとえば以下に掲げる本も方法論を考える上で重要かと思います。

 

また、青山学院大学グループを中心に、現代史研究において雑誌活用が有効であるとの議論が展開されています。

cir.nii.ac.jp

Podcastの作り方

anchor.fm

 

ありがたいことに「みちくさのみちpodcast」友人はじめいろいろな方に聴いていただいているようです。

誠にありがとうございます。

 

私自身は、動画より低コストで、分野外の論文を読まない人への研究の紹介ができ、さらに学生向けには何かの授業で使えそうなネタを、学部生から院生までをターゲットに教材として作り置きしていく感覚で上げておりますが、まあそれにとらわれず無理せずやろうと思っております。

今後ともよろしくお願いいたします。

 

さて、簡単にできるのか?とのご質問をいただいたので、割と簡単にできたということで、やり方をご報告いたします。面白い話をしてくれそうな関係者の方が乗ってきてくだされば。

 

まず、Anchorというアプリを教えてもらって使っています。Spotifyが提供しているポッドキャスト作成ツールですね。

 

これは何で使い始めたかというと、私にポッドキャストを勧めてくださったが使っていたからです(笑)スマホ1台あればできるよと。

 

使い方についてはYoutubeの説明動画をあげていらっしゃる方を参考にしました。いろいろありますが、私が見たのは以下です

youtu.be

 

Anchorはエピソードと言われる1番組を編集していきます。

その際、音声のパーツを作ってアップロードして繋げていく操作をおこないます。

たぶん、ただしゃべるだけでも行けるのですが、それっぽくするために

・オープニング

・本編

・エンディング

それぞれの部分の音源を用意しました。

 

あと、Anchorでは配信開始時に3000ピクセル四方のカバーイラストがいるということで、素材を集めてillustratorで作図しました。

(私のは図書館の白黒のアイコンと、古紙風の写真素材をあわせて文字をのっけただけです)

 

 

古紙の素材は「写真AC」から

www.photo-ac.com

 

アイコンはシルエットACからだったかと

www.silhouette-ac.com

 

お金得てないですけど、商用OKがよさそうですね。

 

これはパワポや、あるいはペイントでも出来ると思います。

向こうが提案してくるデザイン案をとりあえず選択するのもアリかと存じます。

 

マイクはiPhone12のものを使用しています。

 

オープニング音源作成のため、タイトルコールはプリセットのボイスメモで撮って、音源フリー素材で良さそうなものと、音声編集のフリーソフト(Audacity)で合成してオープニングの部分を作りました。

forest.watch.impress.co.jp

 

 

音源探しはオンライン授業のときに重宝しましたけどこちらのサイトでしたね。

dova-s.jp

 

タイトルコールは寝起きに取ったら引くほど暗かったので、二度ほど撮り直ししています。なかなかにこっぱずかしいので、もうここは腹を括ってやるしかないです。

また、音がデカすぎるというご意見も頂戴したので、何度か修正して一度上げた番組の音部分だけ差し替えたりしました(そういう作業がAnchorは割と簡単です)

 

タイトルコールのあとに番組説明を入れてますが、これは公開時に使用しているポッドキャスト概要と同じ文です。作文して読み上げてます。

友人から、なんか半笑いになってしまう、と言われましたが、致し方ありません(笑)

 

 

オープニングは長すぎてもアレなので30秒で収まるようにしました(ある人からは、それでも長いって言われました)。

 

本編部分はAnchorに入っている録音の機能で撮っています。

 

このへん私も良くわからないのですが、どうもこれが生活音などのノイズを勝手におさえてくれるのか、普通のボイスメモで撮ったものより音質が良いようです。

録音室た特別な機材はもありません。子供が昼寝してるときに自宅の別室で撮ってるだけなので。

 

録音した喋ってる部分の音声のトリミングは可能ですが、トリミングするつもりならボイスメモで撮ってしまったほうが楽かもしれません。

 

実際、一度、第4回ですが、これを研究室で撮ったら音質が違うとすぐに指摘されました。

 

おおよそ10分程度喋るということをざっくり決めて、話のプロットを書き出したものを前にして喋っています(そうしないと散漫になり過ぎるので)

※それは/で区切って、目次とか小見出しのように各回の概要欄に記述しています。その方が内容を理解しやすくなると思うので。

 

で、オープニングと本編とエンディングを並べて保存し、公開しています。
以上のものをAnchor上で繋ぎ合わせて公開で1回の作業が終了となります。

 

もともとSpotifyと連携しているのでそこからの配信は簡単ですが、Apple podcastとかAmazonとかで配信する場合は別途作業が必要となります。試行錯誤で適当にやっているのであまりうまく説明できませんが、とりあえずアップルとAmazonとグーグルでは流せるようになりました。

 


なおAnchorはWebブラウザでも閲覧でき、フォルダの音源をドロップできるのでパソコン上で作業するのが楽だと思います。登録にはメールアドレスかまたはSNSでの認証が必要になります。

 

あと、配信の告知はTwitterが便利なんだろうなあと思うんですが、Twitter辞めてしまって復活させる気があんまり起きないので、どんな話をしたのかnoteで更新するというところで落ち着きそうです。

 

まだメリット・デメリットは未知数なのですが、こんなのに良さそうだなと思っております。

  • 雑談
  • 本やサイトの紹介
  • 長い文章を書くのは大袈裟だけれど便利なTipsの紹介

結局、Twitterであれブログであれnoteであれ、あるいは動画もそうですが、目で追ってもらわないと伝わらない、人にその時間を割いてもらうというのは結構大変で、しかもアカデミックな内容の発信となると、そこまでコスパが良いとはいえない。

であれば、散歩中とか移動中とかに聞き流してもらえるところでやったほうがいいのではないか。そんな風に考えてみました。

 

日本思想史学会のニューズレターに先日大会参加記を書かせていただきまして。

日本思想史学会ニューズレター

 

「今回の大会発表を聴いた限りではそこまでとも思われなかったが,仮に,コロナ禍による交流機会の縮小が,日本思想史を学ぶ留学生や若手研究者の問題意識のタコツボ化を誘発しているとしたら,やや憂慮すべき事態ではある」


第1回の配信でこれに似たことを喋っているのですが、これを書いたとき(11月末くらい)、アカデミックな人たちを巻き込みつつ異分野で対話の機会を促進していくやり方、打開の方法は、もはやTwitterではないような気がして(対話するつもりがほぼ例外なく喧嘩になってしまう。努力でどうこうできる次元ではなくて、たぶん構造的に何か問題があるんじゃないかと)。

そこから年末年始で偶然ヒントを見つけて年明けから音声配信をやっているというのは、大袈裟というか何というか、主たる動機でもないのですが、どこかに引っかかっているような気がしております。
まあ、悪あがきなのかもしれないですが。

 

ただいずれにせよ音声配信ならば、とにかく批判しようが褒めようが初めから最後まで一回通して聴かないことには内容が入ってこない点で、変な批判とかを避けることができそう、というのが良い点ではないかと思います。

 

ちなみに作成過程で色んな方のポッドキャストを聞いてみるようになったのですが、是とか凄かったです、本当に面白かった。

youtu.be

 

追記

友人からコメントをいただきました。

 

上げてるよ!!テンションめちゃめちゃ上げてますってば。

仕事で電話取ったときみたいなテンションでしゃべってるでしょうよ。

あれより上げたら裏声か北斗の拳の次回予告みたいになるくらい上げたつもりなんだけどなあ。