人文系必読書をめぐる議論について・その2

すごく中途半端に話が終わってしまってすみませんでした。

以下の記事も、何か凄く言いわけの補足の蛇足じみているのですが、もしお付き合いいただけるなら、幸いです。

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 さて、人文系の必読書の探し方の話である。

 歴史学でいうと、例えばここ数年で以下にあげるような本が出ている。

新・現代歴史学の名著―普遍から多様へ (中公新書)

新・現代歴史学の名著―普遍から多様へ (中公新書)

歴史学の名著30 (ちくま新書)

歴史学の名著30 (ちくま新書)

 中公新書の名著シリーズは、

日本の名著―近代の思想 (中公新書 1)

日本の名著―近代の思想 (中公新書 1)

のように、ある意味創刊当初からなのであるが。

 このほかにも、最近は人文書院から

日本思想史 (ブックガイドシリーズ 基本の30冊)

日本思想史 (ブックガイドシリーズ 基本の30冊)

のように、テーマごとに基本の30冊を選ぶシリーズが出ている。

 岩波の思考のフロンティアの中から適当な一冊を持ってきて、

ナショナリズム (思考のフロンティア)

ナショナリズム (思考のフロンティア)

本文を読まないで文献案内から読む、というのも一興だが、よい方法かどうかはわからない。

 ただ、自分は兎に角色々な人と議論が出来るようになりたいといい、色々なジャンルを相手にしていくんだと言いながら高校の先生を目指していた私の友人は、確かに思考のフロンティアだけは全冊読んでいた気がする。それはそれで凄いことだと思っている。

 そのほかにこういうのもある。

ナショナリズム論の名著50

ナショナリズム論の名著50

 また、あくまで個人的な経験からいうと、有斐閣の入門シリーズは、極端なハズレが少ない気がする。

ナショナリズム論・入門 (有斐閣アルマ)

ナショナリズム論・入門 (有斐閣アルマ)

 何故この数年で名著の解説本が続々出ているのだろうか。この現象自体、非常に興味深いものがあるのだが、「必読」を探す方法を作らなければという危機意識とあるいは同根なのかもしれない。

 ただ、こういう本は、ありきたりな言い方をすれば、編者の主観が入るものである。編者の主観に我慢してお付き合いして、「そうか、そうきたか」と一人で読みながら呟くのが多分大事なのだが、大体、どれを読んでも目が醒めるほど面白いわけではない。

 その上解説を読んでしまってから原著を読もうとすれば、どれだけ意識していても解釈に引きずられてしまうことのほうが多いだろう。記憶に残っていることが書いてあって「これか」と思うのは、誰しもそれなりに楽しいものだから。

 しかし、である。

 目的はこれから何らかの専攻を学んでいこうとする学生さんに、何を読んだらいいか、についての一定の指針を示すことである。ちょっと勉強を進めて、次に何を読もうか、となった段階で、このテのガイドは生きるのだと思うが、最初からこれだけ持っていれば大丈夫、というわけにはいかない。

 どうすればよいのか。

 どうしたらよいのか。

 結局、私の経験でこうだったと説明するほかに無いような気がする。