学知

学びて時にこれを習う(5) 藩校文庫とその行方

前回まで (1)、(2)、(3)、(4) 文庫とは何かを考える 江戸時代の学問観と文庫の関係を辿ってきて、ようやく文庫設立の動機のようなところまで書くことが出来た。しかし国学者が作った文庫以外にも、江戸時代には多数の文庫が存在した。幕府の昌平…

学びて時にこれを習う(4) 国学と文庫

国学の登場 前回まで(1)、(2)、(3) 前回の終わりで、近世思想における学問の展開と文庫について、もう一度新しいフレームのなかで考え直してみることも重要そうだと書いた。そういった図書館史を構想する場合、もちろん私自身がもっと江戸時代の出…

学びて時にこれを習う(3) 江戸時代の学問観と学習法

前回まで (1) (2) 荻生徂徠が博学を尊び、彼の学問観にいたってようやく文献研究として<スタディ>が自立してくる、と書いたが、もう少し調べてみると、そう単純な話ではなく、ちょっと違うかもしれない、慎重に考えた方がいいとも思えてきた。 文献…

学びて時にこれを習う(2) 文献研究<スタディ>の成立

(1)の続きです。 近世・近代の「実学」についてのイメージとは別の切り口でも少し考えてみたい。 何故か生き生きと「学問」している人々を描く小説 最近読んだ冲方丁の歴史小説群は、『光圀伝』にせよ、あるいは『天地明察』にしてもそうだが、なんだか実…

学びて時にこれを習う(1) 「実学」の「伝統」に関する覚書

このところ「学問」とは何であるかについてぼんやりと考えている。 図書館に就職してよりこの方、多くの「学問論」を目にしたし、また色々な人から学問観を聴く機会を得た。これは職業柄のせいかもしれないが、ある意味では、他の人よりも多く学問論に接して…