この手の記事、2020年が最後でその後ずっと書けていなかったようなのですが、久々に書いてみます。
日本史、日本思想史、メディア史、図書館関係、カテゴリーをわけず思いつつくまま書き出していきます。
おそらくだが、2024年の一番最初に読んでいた本なのではないかと思う。「その通念に異議を唱える」の部に収められた各篇を読みながら、こんな切れ味抜群の文章が書けたらいいなあという憧れと、いやいや、これを私なんかが真似しようと思ったらいけないんだという内省と両方が巻き起こる。思想史の色々な面白さがわかる一冊。
いただきもの。東北大の研究成果。阿部次郎に関する資料がこれだけたくさん出てくるというのは凄いことだよなと圧倒された。
メディアと仏教の研究の一つの達成かなと思う。かなり衝撃を受けたので個別にnoteの記事にしている。
大澤さんたちとは御縁があって、この本の書き手の方々と12月に樗牛関係で研究会でご一緒することになった。
いただきもの。アーカイブズ学に関する用語を収録した大変重要な成果。図書館学関係の用語もフォローしてあり、しっかり勉強せねばと思います。
日本出版学会で知ったもの。図書館が本を買うとどの程度出版者に影響があるのか、いつも不毛な論争になってしまう問題についても明確な基準を示した、印象論を超えた必読の実証研究。
図書館に関してはこちらも。従来あまり分析されてこなかった地方の小学校に付設された簡易図書館などを検討している。明治以降の日本人が何処で何をよんでいたかを知るためには今後必ず参照すべき文献の一つになると思う。
学知史という切り口の新しさ。戦後の方の議論までは十分フォローできていないのだが、『近代学問の起源と編成』論集に図書館のパートで関わって以来、学問史に関してはずっと興味があって、こういう本が編まれたことが一つの研究の進展だなと感じたりした。
著者の博士論文。卒論・修論でお世話になった副査の先生も如是閑がご専門だったので、先生の講義を思い出しながら読んだ。
尾原さんからいただきもの。クイズ番組などを見ていて今の若い世代の学歴に対する想い、高偏差値への学校入学の志向はかつてないほど高いという指摘を読んで、そういう意識がなかったこともあって不意を衝かれたような気持になった。しかし改めて考えると「確かに…」とも。この辺、『軍事と公論』もしかり、テレビから確実に時代の流れをつかんでくる抜群の感覚こそが尾原さんの凄味だと思う。「高学歴」の言葉の意味がSNSで従来と違う形で使われるようになったのもそのためだったのか…と納得したり。
著者からのいただきもの。聖徳太子論としては異色の切り口の本ということになるだろうか。宗教学者・姉崎正治の聖徳太子論についていずれ考えようと思っていたので、成程この人も聖徳太子のことをやっていたのか等々、考えさせられることが多かった。
2024年はこれを挙げないわけにはいかないでしょう、の1冊。これ以上優しく説明するのはおそらく不可能な論文を読む日本史系演習での論点の立て方マニュアルみたいな趣もあり、誰でも書けるかというとこれ史学史に通暁した松沢さんしか書けないよ…と唸る箇所が多々。秋学期の講義では積極的に学生に勧めた(つもり)。響いているとよい。
話題になった本。近現代日本の読書の歴史としてコンパクトにまとまっていると思う(専門的にはつっこみたくなる箇所がなくはないが)。著者の提示する解が最善かどうかも議論の余地があるかもしれないが、読書する上で何が「ノイズ」になってしまうのかについて、考えさせられるところは大きい。
Kindleで出張中に読んでて、そのあとブクログに登録するのをすっかり忘れていた。紙で読まないと今年なのに忘れてしまうとか、歳なのが悲しい。そんな45歳が32歳の読書を応援したくなる一冊。自分も読書家ではなかったし本を読むのが苦手だったから、少しだけみくのしんさんの共感しているところもある。杜子春とかでいきなり感情移入できなくなる場面とか、ああ、と。共感だけが読書の全部じゃないよ、色んな読み方をしても怒られないんだよ、ということを優しく教えてくれる本ともいえる。
そして適切な相方がいれば、本を読み上げるという行為はこんなコンテンツ足りうるんだということを学んだ(学んだ結果、ちょっと学生と一緒に文献輪読をするときに一文一文読み上げながら「ここは~」って合いの手を入れるような解説をしているときがある。感化されすぎで鬱陶しかったら申し訳ない)
2024年1月刊行。実はオーディブルで聴いたのだが、西洋哲学の受容のくだりなどは、自分の授業にも使えそうなところがいくつかあって勉強になった。来年度以降に反映させていきたい。
泣ける小説が読みたい、という困った衝動があって、そういうときにマハさんの本を探すのだが、棟方志功の妻の話。オーディブルで聴いた。渡辺えりさんの朗読が凄すぎて単純で涙もろい私は何回か本当に泣きかけた。その風景まで覚えている。構成に「やられた!」という感じでは実は個人的には『たゆたえども沈まず』の方が上かもしれないが、家族のきずなを感じさせるものとしてはこちらか。
これも実はオーディブルで聴いた。講談社の今を生きる思想シリーズ、ページ数が厚くならないように絞っているみたいなので、逆に朗読で聴くのにちょうどいい。この本のはじめの方で出てくる、多様性が尊重される時代には、絶対的な基準が相対化されていく。そのなかで誰もが致命的に悲惨な目に合わないよう納得できる公平な基準はどうやったら作れるか、という問いが結構ストンと落ちて、色々と考えるところがあった。彼の著書に挑むのは骨が折れそうだが、そのうち…。
近現代だけ挙げたけれど、全巻重要。教科書の記述に即して、それに対する研究動向がどのようになっているのかを解説。非常に勉強になる。
佐藤先生。過去10年分くらいの既発表原稿をまとめたものであるが、現在に通じる警鐘が多く含まれる。佐藤先生の本は『言論統制』増補版も学生と読書会を開くほど感銘を受けた。
「お客様」が持っている歴史的なニュアンスを思えば、就活中の学生にも読んでほしい気がする。色々なことを考えさせられた。
著者とは面識がないのだが、拙著『帝国図書館』を引用していただいている。アカデミズムの総合的な歴史がしっかり書かれないといけない気もするのだが、同じく在野の学問の歴史もまた紡がれなければならない。
岡野さんからいただいたもの。日記本文に関西文脈の会で自分の発表回が出て来てびっくりした。一応公開を前提にした連載がベースのようだが、こうした日々の記録の積み重ねが、多方面に広がる岡野さんの交友を作っているのだなと実感
飯田先生。高山樗牛論の問題提起は受け止めて応えていかなければならないと思う。レジュメのほうにある大正時代の総合雑誌の変化の話、『大正知識人の思想風景』でもそこまで詳しく語られていないと思うので、この部分の文章化を…と思わずにはいられない。2023年の有山先生の『近代日本メディア史』Ⅰ・Ⅱと実は対応する本なんじゃないかと少し思っている。
その他、年末に買ったりいただいたりしたもので
著者とは直接の面識はまだないのだけれどいただきもの。拙稿「法科と文科」を引用していただいている。まだ全編しっかり読めていないので早く読みたい。
佐藤さんからいただきもの。『LRG』連載をまとめたもの。切り口が圧倒的に面白い。表紙も素敵だし、大切な一冊。
あと
『帝国図書館』もご担当いただいた上林さんがご担当とのこと。著名な学者の顔写真が豊富でこういう方だったのか…というのがわかって門外漢には嬉しい。冒頭の学問史がちゃんとない、という丸山眞男の言葉に強く惹かれる。
河西さんからのいただきもの。ご専門のかなり中心的なテーマに関わる部分で、注記も充実。報道に対する視聴者の声も拾われているところはさすが。
まだ取り上げたい本もあるけれどこの辺で。今年はたくさん本が読めたのか読めなかったのか。あまり読めなかった気もするので、来年の自分に期待したいと思います。
みなさんのお勧め本は何でしょうか?
良いお年をお迎えください。

























