日本史演習系科目の運用とSlack

 タイトルのまんまなのですが、昨年度の終わり頃から、Slackを始めて、学部3年以上の弊ゼミ生は全員登録するように。ということにしております。

 

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 全く予期せずして、今般の新型コロナウィルス(COVID-19)感染拡大の影響によって、新年度の授業が対面式で行えなくなったことで、昨年度末からゼミ生に声掛けしてSlackに登録せよと呼びかけていたことがギリギリ奏功している感じでもあり、また各地で始まっている遠隔授業のなかで、多少なり参考となる事例が提供できるのであればと思ってブログを書いてみます。

 

導入経緯

 

 Slackを使おうと思ったきっかけはいくつかあるのですが、一つは、事務仕事と研究指導のメールを分離しないと後者が埋もれて破綻する、という危機感が強くなったことによるものです。

 

 多くの同業の方に覚えがあると思うのですが、大学教員、メールがいっぱい来ます。期末のレポートを課したときなどには、もう引くほど来ます(自分の責任なのですが、昨年度180人くらいの授業でレポートを課して、いちいち受理の返信をしてたので、終盤ちょっと発狂しそうでした)。

 それで昨年度は大学着任2年目にして初めて修士論文生の指導をしたのですが、そうすると、学生が「序章(まだ直すかも).docx」とか、「第一章途中まで.docx」とか、「第二章修正版20191106.docx」みたいな添付ファイルを直しては直してはいっぱい送ってきますよね。それにこちらも返しているだけでメールがたまっていく。

 しかもメールなので、たまに件名振り直さないといけないかとか、宛名も省略すると何だか気持ち悪いとか、だけどいちいち書くのがめんどくさくてストレス、とか、そういうのも重なってきました。

 さらに、その間、それと関係なく来る返信しなければいけないメールもいっぱいきますよね。これはさすがにちょっとヤバいかもしれないな、と思ったのでした。

 

 前職で働いてたときは、受信トレイをTodoリストに見立てて、来た順にやっつけて、返信が終わったら予め作ってあったフォルダに移し替えて結了。というノリで処理できてたんですけど、大学に来てから、当たり前ですけどまず授業に行かなければならない、授業の準備もしなければならない、出欠も入力しないといけない、さらにその合間の時間に学生が相談に来る、ということで、まあそれでももっと忙しい先生はいらっしゃるのですけれども、デスクでメール処理可能な時間がガシガシ削られて行って、同じやり方ではどうも無理だなと気づき始めたこともあります。

 

 去年度の院生は頑張ってくれて、どうにか提出まで漕ぎつけました。私が主査を務めた指導院生は1人だったので何とかなったのですが、今年度は、昨年度3年ゼミで入ってきた学部の学生が卒論を書くことになる。ちょっとどう考えても同じやり方では破綻が見え透いている。

 なので、修論が終わるあたりから、院生と、メール以外の手段で連絡を取り合おう。かつ、ファイルを交換してもストレスにならないものがよい。と相談して、Slackの導入に至りました。

 友人にはbacklogもいいぞと言ってくれる人がいたのですが(ありがとうささくれ)、弊ゼミの特徴として、留学生が多くて、中国でもとりあえず動くっぽい。ということが確認できるツールにしたい、ということでslackに落ち着きました。学生とのコミュニケーションには、LINEとあとWechatも併用しておりまして、その辺も一元化しておきたいというのがありました。

 

 なお、導入にあたっていくつかの記事を参考にしました。

 2件目の文系ゼミで~に書いてあることは、自分のところでは当てはまらないものもあるのですが、非常に参考になりました。別に理系じゃなくても行けるんだなということと、あと本の貸し出しなどのチャンネルを作っておくのは非常に良いなということを学びました。

 あと、本を読みました。これはちょっと古い情報かもしれないのですが、参考になりました。

 こっちは導入し始めてから出た本で、目次だけしか拾い読みしていませんが、何か良さそうですね。

「明日からSlackを使って」と言われたら読む本

「明日からSlackを使って」と言われたら読む本

  • 作者:向井領治
  • 発売日: 2020/03/25
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)
 

 

運用

 

 一応3か月はやってみたというところです。メールの形式にとらわれないで情報だけ投げられるので、学生にこれ読んでおいてね。という文献リストをNDLオンラインからリンクを貼りつけたり、リサーチナビの「調べ方案内」を貼ってここを見ろ、と指示したり。

 チャンネルに貼って置けば、主に一人に向けて発した情報も、他の学生が参照して「へえそんなのあるのか」と、うっすら理解できる。そういう機会が結構大事なんじゃないかというのが一つありました。

 

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使っているslackの画面例

 

 今、ざっくり以下のようなチャンネルを設けております。

  • #general(使用のガイドライン、大学からの重要な通知等掲示用)
  • #random(雑談用)
  • #mailのひな形(学生に送る用)
  • #ゼミ連絡(学部・大学院等個別に)
  • #研究室図書の貸出
  • #就職関係情報(大学からもメールなどでお知らせがくるのですが、学生周知のためにここに貼り付ける)
  • #文献情報(読んだ本で面白かったのを)
  • #論文指導(学部・大学院別)
  • #調べ方のtips(データベース紹介など)
  • #ニュース
  • #保存庫(自分の論文のPDFを置いておいて学生に読ませる)

 

 増やし過ぎかなとも思ったのですが、こんなもののような気もします。無料版なので1万件までですが、あとから入ってきた人が過去の記事を遡って読めるのもいいと思いました。貼った情報が無駄にならない。

  まだやったことないですけど、日本史だったらみんなで翻刻的な作り方というか、史料を挙げておいて、それについてみんなでディスカッションしたり読みを言い当てたりするの、できそうに思います。

 

課題

 課題をあげるとすれば、学生の個別相談がDMで来ていて、なかなかゼミ全体の議論やrandomの会話が盛り上がらないので、担当教員からのお知らせ掲示板化していること。でしょうか。

 あと良くも悪くもLINEなどとは違って既読がつかないので「ちゃんと読んだ?」と思うことはあります。あえてそれを問わない緩さがいいツールなのは理解しているのですが。

 

 今年度はゼミ開始前に、メンバーの自己紹介を一言ずつ、ゼミ用のスレッドに書いてもらって相互に理解を深めました。

 まだ活発な交流が生まれているとは形容しがたい状態なのですが、今後テレビ会議で演習をするのなら、律儀に大学のLMSにリンクを貼るより、slack上にリンクを貼って運用したほうが楽だし、レジュメなど、事前にメンバーに共有するためにslackに送っておけ、と出来そうなので、その点はこれからかなという気がします。

 他の有効活用事例があったら参考にしたいので教えてください。